建設業許可を受けるための要件

建設業の許可を受けるためには、大きく分けて次の6つの項目全ての要件をクリアしている必要があります。

目次

経営業務の管理責任者

建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有すること(建設業法第7条1号)

2020年10月に建設業法の改正あったところです。

適正な経営体制ともいわれますが、いわゆる経営業務の管理責任者(通称けいかん)と呼ばれるものです。
この人がいないと建設業の許可は取れません。

建設業許可の取得が必要な大きい金額の工事(請負代金500万円以上、建築一式工事請負代金が1500万円)には、経営業務を管理できる責任者がいないとダメというころですね。

この工事をお願いします。

わかりました!まかせてください!

資金繰り何も考えてなかったや☆

こんなことになっては非常にマズいことになりますね。

少し極端な例でしたが、ということで経営のプロである人が必要になってきます。

「どんな人がなれるの??」ということについては、改正もあり様々な要件がありますのでこちらの記事で詳しく解説しています。

専任の技術者

営業所ごとに専任の技術者がいること(建設業法第7条2号)

もちろん経営に詳しいプロがいるだけでは大きな工事はできません。
営業所ごとに建設工事に詳しい技術者を配置することが、建設業法で決められています。

専任技術者になるためには、自称ではダメだということはもちろんお分かりだと思います。

なので、一定の実務経験、資格等必要になってくるわけです。

どのような経験、資格等が必要なのかは、建設業許可の種類(一般建設業 or 特定建設業)や許可を取得する建設業の業種(29業種)によって異なります。

また、営業所に常勤勤務していることも要件となります。

大事な点は「営業所」に「常勤」ということ。

埼玉県に住んで働いているのに、北海道の専任の技術者にはなれません。

令和3年度のガイドラインで常勤性が緩和されて、テレワークも認められるようになりましたが、常識的に通勤不可能なものは認められませんのでご注意ください。

経験や資格の要件はこちらの記事に詳しく記載します。

誠実性

法人又は役員などが不正や不誠実な行為をすることが明らかでないこと(建設業法第7条3号)

解説するまでもありませんが、このような業者に許可を与えていいわけがありません。

①不正な行為とは
例)請負契約の締結や履行に際して詐欺・脅迫・横領等の違反行為のことをいいます。

②不誠実な行為
例)工事内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担等について、請負契約に違反する行為

他にも建築士法や、宅建業法の違反によって免許等取り消し処分から5年を経過しないものは誠実性がないとみられます。

免許取り消しから5年経たないとダメなんだ。

財産的要件等

財産的基礎又は金銭的信用を有していること(建設業法第7条4号)

お金がなかったり信用がないのに、大きな工事を請負えてしまうと発注者も安心して工事を頼めませんね。
なので許可を受けるために財産的要件が必要になってきます。

一般建設業の許可特定建設業の許可
次のいずれかに該当すること次の全てに該当すること
①自己資本の額が500万円以上であること①欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
②500万円以上の資金を調達する能力があること②流動比率が75%以上であること
③許可申請の直前過去5年間許可を受けて建設業を継続して営業した実績を有すること③資本金の額が2,000万円以上であり、かつ自己資本の額が4,000万円以上であること
※設立後の最初の決算期は未到来の場合は、資本金が4,000万以上であること

既存の会社の場合は申請時の直前の決算期の財務諸表、新規の会社のときは創業時の財務諸表で判断します。

社会保険の加入

適切な社会保険に加入していること(建設業法第7条1号、建設業法施行規則第7条2号)

2020年10月に施行された建設業法の改正点です。

建設業の許可を受けるには、適切な社会保険に加入していることが義務付けられました。

建設業法で該当する社会保険は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の3つです。

国土交通省から出ている下記表が非常にわかりやすくまとめられています。

「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」における「適切な保険」についてより

https://www.mlit.go.jp/common/001242518.pdf

欠格要件

欠格要件に該当しないこと(建設業法第8条)

許可を受ける会社はもちろんのこと、役員や支店の営業者が次の欠格要件に該当していたら当然許可はもらえません。

① 許可申請書又はその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき
② 精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者又は破産手続開始決定を受け復権を得ない者
③ 不正の手段により許可を受けたこと等により、その許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
④ 許可の取消しを免れるために廃業の届出をしてから 5年を経過しない者
⑤ 建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、あるいは危害を及ぼすおそれが大であるとき、又は請負契約に関し不誠実な行為をしたこと等により営業の停止を命ぜられ、その停止期間が経過しない者
⑥ 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった 日から 5 年を経過しない者
⑦ 次の法律に違反し、又は罪を犯したことにより罰金刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は その刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
(ア) 建設業法
(イ) 建築基準法、宅地造成等規制法、都市計画法、景観法、労働基準法、職業安定法、労働者派遣法の規定で政令で定めるもの
(ウ) 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
(エ) 傷害、現場助勢、暴行、凶器準備集合及び結集、脅迫又は背任の罪
(オ) 暴力行為等処罰に関する法律の罪
⑧ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第 2 条第 6 号に規定する暴力団員、又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から 5 年を経過しない者(以下暴力団員等という。)
⑨ 暴力団員等が、その事業活動を支配する者

※刑の執行猶予を受けている者は「刑に処せられた者」に該当します。

以上となります。

少し細かいのでざっくりと簡単にまとめます。

・申請書に嘘を書いたり隠し事をしていていないこと
・破産後に復権を得ていること
・許可の取り消しから5年経過していること
・警察のお世話になってから5年経過していること
・暴力団でないこと

注意点は、申請書に記載する賞罰の欄です。

前科があったのに、「賞罰なし」と嘘を書いてしまうと、虚偽の記載で今後、5年間許可をもらえなくなってしまう可能性があります。

ここで言う賞罰は、全ての刑罰ではなく、禁錮以上の刑や、建設業法違反や暴力的な行為で罰金などになります。

申請は正直に正しく行いましょう。

以上が許可を受けるための要件となります。


最後にポイントを再度まとめます。

① 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を備えていること
② 適切な社会保険に加入していること
③ 専任の技術者がいること
④ 請負契約に関して誠実性があること
⑤ 財産的基礎または金銭的信用があること
⑥ 欠格要件に該当しないこと

これらを全て満たしていないと許可はもらえません。


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